てんかんは完治するのか?

てんかんは治りやすいタイプと治りにくいタイプがあります。
薬で発作を抑えられることが多いですが、薬では抑えられなかった場合は手術という手段があります。

小児期のてんかんの完治について

小児期に発症した特発性てんかんは治りやすいタイプです。
『適切な診断』と『抗てんかん薬の服用』など適切な治療によって発作を起こさず生活することができるのです。
薬のみで発作が抑えられ、服薬を終了できる可能性が高いと言われています。

小児期のてんかんは、年を重ねていくごとに脳が発達するため、脳の傷が残っていても発作が起こらなくなっていくのです。
割合としては、10人中8~9人は服薬をストップすることが可能だそうです。
割合としてみると高いことがわかります。

しかし、ここで注意点があります。
治りやすいと言えど、医師の指導を無視して自己判断で薬の減量や中止をしてはいけません。

一般的な話になるのですが、薬をストップできる目安としては、2年以上発作がなく、脳波が安定していないとダメなんです。
2年以上発作がないのは判断できますが、脳波が安定しているって、自己判断できないですよね? 根気よく治療を続けていくと、時間はかかりますが再発がなければ通院終了となります。

医師
医師の指導を無視して自己判断でてんかんの薬の減量や中止をしてはいけません。

成人のてんかんの完治について

一般的に大人のてんかんの完治は難しいとされています。
思春期、成人になってから発症したケースでは薬だけで発作を抑えられることが多いですが、服薬を終了すると再発しやすい傾向があります。
小児期のてんかんで記載したように、小児期のてんかんは、年を重ねていくごとに脳が発達するため、脳の傷が残っていても発作が起こらなくなっていくと説明しました。
しかし大人の場合はどうでしょう?もうすでに脳は発達しきっていますので、年を重ねても脳は変化していきませんから、完治が難しいのです。

服薬をやめるには5年程度発作が起きていないことが前提で、小児期のてんかん同様、医師との連携のもと、定期的な脳波の検査を続けていくことが望ましいです。
勝手に自己判断で薬の減量や中止をしてはいけないということです。

自己判断で薬をストップした場合、てんかんの再発の恐れがあります。
あるデータでは、薬の服用によって2年以上発作がない場合で服薬を中止した後の発作の再発率は1年後で約25%、2年後で約30%とかなり高い確率で再発することが分かっています。

薬の服用によって2年以上発作がない場合で服薬を中止した後の発作の再発率
かなり高い確率で再発する

てんかんの完治基準

「完治した」と言えるのは人それぞれ考え方が異なります。
薬を飲まなくても全く発作がなくなったこと、薬は飲みつつも発作はないこと、後者は完治というより寛解という言葉がよく使われます。
小児期発症の治りやすいタイプでも、薬を終了してから二度と再発することはないとは言い切れません。

成人になってから発症し、5年程度経過してから薬をどうするかは、医師の判断だけではなく、患者さん自身の気持ちも大切です。
再発しやすさを考えると、薬を飲み続けるというのも選択のひとつです。
車の免許、仕事、生活の中で再発することで失うものがあるからです。
車の免許は発作が起きていない条件をクリアすれば取得、更新、再取得ができます。
仕事は内容によって危険を伴うリスクが高くなること、今まで通りに趣味を楽しむこと、「発作がなければそれでいい」と考えるなら、どちらを選ぶかは患者さんの気持ちを大切に考えたいものです。

てんかんと運転免許

てんかんが完治したと判断された場合には全く制限は受けないそうです。
服薬中の方でも以下の場合に運転免許取得が可能です。

  • 発作が過去2年以内に起こったことがない
  • 服薬を変更しない
  • 怠薬しない
  • 「発作が再発するおそれがないこと」の主治医の診断書が必要

※運転を職業とする免許は取得できません。

しかし、インターネットやテレビを見ていると、てんかんの方が運転免許証を取得することに疑問を抱いている方も多いです。
それは、必ず発作が起きると思っているからでしょうか。
上記の条件を満たしていればてんかんの方も健常者と本当になにも変わりありません。

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