偏頭痛はストレスを回避すれば対処できる!?

偏頭痛の原因の1つとして、次のような過程でおこる現象が上げられています。

  • (1) 過度のストレスにさらされると脳血管内の血流の成分である血小板からセロトニン(血管収縮物質)が放出される。
  • (2) 血中のセロトニン濃度が急上昇する。
  • (3) 脳血管が急激に収縮する。
    この時、偏頭痛の前兆現象が起こると考えられている。
  • (4) 役割を終えたセロトニンは代謝されて排出される。
  • (5) 血中セロトニン濃度が急激に低下し、反動で脳血管が拡張し、それが頭部に偏在する三叉神経の末端を刺激する。
  • (6) 三叉神経末端は発痛物質を放出し、その結果無菌性炎症を起こす。
  • (7) その刺激が大脳の痛覚中枢に伝わると拍動性偏頭痛として認識される。

このように書くとずいぶんゆっくりと起こるような印象になってしまいますが、頭部の一部で起こる現象ですし、刺激の伝わる速さは80m/秒なので、ほとんど瞬時です。

新幹線

そして、最初の血小板からのセロトニン放出を促すのが脳内の視床下部なのです。

視床下部は、様々な機能を併せ持っていてそのはたらきは多岐にわたりますが、生命維持装置としては、体内の環境を一定に保つ(ホメオスタシス)ためのサーモスタットのはたらきをします。

たとえば…

  • 精神的ストレスで常に緊張を強いられている。
  • 外気温が急変して体温に影響を与える可能性が高い。
  • 台風接近などで急激に気圧が降下する。
  • 月経前でホルモンのバランスが激変する。

等々、これらは全て視床下部へのストレスとなり、セロトニンの血液中への放出とつながり、偏頭痛の引き金になります。

結果、拍動性と言うか、オノマトペに頼れば「ズキンズキン」という偏頭痛が引き起こされる事になります。

したがって、偏頭痛の発作を回避しようとするなら、でき得る限り視床下部へのストレスになるような体内環境の変化(一定の年齢段階にある女性においては月経はどうしようもありませんが)を避けるような生活習慣を培っていく事が賢明な生き方というものです。

しかし、それでも起こってしまうのが偏頭痛と言うものでして、薬物治療としては2種類のアプローチがあります。

1つ目は、頭痛外来で処方してもらったトリプタン系薬剤を医師の指示に従って服用する(急性治療)です。
トリプタン系製剤は偏頭痛の根本的原因の1つである血管の拡張を抑える効果があります。

2つ目は、頭痛のない日も毎日予防薬を飲んで頭痛発作を起こりにくくしたり、起こったとしても比較的軽く済むような予防治療です。

ただ、初夏や初秋のような良い季節に誘われて野外に出た時に限って、偏頭痛は襲って来ます。

薬を持ち合わせていない。

近隣に頭痛薬を置いてある薬局がない。

などは十分に起こり得る可能性があります。

そのような時には以下の通りの応急処置が有効です。

基本方針は拡張した血管を収縮させて元に戻す事です。

刺激を避けて静かな薄暗い部屋で横になる
できればしばらく眠る。
偏頭痛の特効薬であるトリプタン系薬剤が登場する以前はこの方法が唯一の治療法でした。
カフェインを含んだ飲み物を飲む
カフェインには血管収縮作用があるからです。
ただし、飲み過ぎはもう1つの頭痛の引き金になる事がありますから、ほどほどに。
コメカミや額、後頭部などの痛む部分を冷やす
拡張した血管を冷やす事によって収縮させたり、神経や血管の無菌性炎症を抑えるのに最も有効な手段です。
眼の周囲やコメカミなどに熱吸収シート(ヒエピタ)などを当てて安静にしていると偏頭痛がおさまります。
周期性がある場合は、起こりそうな時期は体調の変化を最低限に抑えるようにスケジュールを調整する
月経と関係があったり、終末に必ず偏頭痛が起こるという方が少なくありません。
起こりそうな時期があらかじめ予測可能な場合は、その時期の激しいスポーツやアルコール摂取、サウナ、お風呂などの身体を温めすぎるようなことはなるべく避けましょう。
また、休日だからと行って寝だめをせず、できるだけ体内時計のリズムを狂わせないように心がけてください。

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