うつ病が増加した背景には陰謀説が存在する!?

「オレはウツ持ちだから」
と、複数の知り合いから、誇らしげな声音でカミングアウトされるようになったのは、いつからでしょうか。

そりゃあ人間だから、生きている限りは憂鬱な気分になることだってあるでしょうが。
血色がツヤツヤピカピカの人間に「うつ状態」とか「うつ病」とか言われると、口に出しては言えないが、「本当なのか」と心の中で叫びたい気分になったものです。

と言うのも、筆者は先輩や同年輩の人々が、その人の耐えうる範囲をはるかに逸脱した権限や責務を与えられて、限界を超えてうつ状態や、悪化してうつ病になるのを、若い頃に集中して見ているからです。

本物のうつ病患者は、間違っても自分がうつ病であることを告白しないものです。

不眠と食欲不振が身体を苛み、明らかにダメージを受けた状態であることが一目でわかるほどです。

でもまぁ、「新型うつ」っていうのもあるしなぁと、無理に自分を納得させていましたが、この「新型うつ」と言うものが、ネットで「うつ病」を調べると必ず出てくるようになったのはいつからなのでしょうか。

それは「うつは心の風邪」というフレーズがマスコミで報道されるようになってから、と言うのが筆者の認識でした。
では具体的に何年からか、となると漠然と21世紀に入ってからだ、と思っていました。

ルボックス(デプロメール)と言う抗うつ剤の宣伝のためでした。

この薬は日本初のSSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors:選択的セロトニン再取り込み阻害薬)です。

元々はベルギーの化学会社アッヴィによって開発された薬剤で、物質名はフルボキサミンマレイン酸塩と言います。
それが1984年ごろからフランスなどで販売されるようになり、実績をつんで15年後に日本で販売されるようにりました。
このあたりは日本の関係官庁の用心深さなのか、単なる怠慢なのか評価の分かれるところです。

販売が認可されたのが1999年5月ですから、宣伝が始まったのはそのあたりからと考えるのが妥当でしょう。

以来、SSRIは、ルボックス(デプロメール)だけでなく、パキシル、レクサプロなどが販売されています。

SSRI系の薬剤は、いまだ仮説にすぎない「うつ病は神経伝達物質(セロトニン)の脳内における欠乏による」と言う学説にもとづいて開発された薬剤ではありますが、「うつは心の風邪」キャンペーンが功を奏して売れています。
どのくらいの効果かと言うと、2000年からの8年間で売り上げが10倍になっています。

調べてみると、1996年に43万人程度だった日本のうつ病患者は、12年間のうちに2倍以上の、100万人を超えるようになっています。
また、同時期に地方公務員や公立学校職員などの公務員のメンタルヘルスが原因で休職する割合が、1998年には0.3%程度だったものが2006年には1%と、3倍強の増加率です。

確かに日本は、バブル崩壊後の失われた20年の間にストレス社会になってしまった、と言われていますが、それにしてもうつ病患者やメンタルヘルス休暇の増加は尋常ではありません。

「うつは心の風邪」の宣伝により、ちょっとした精神的不調で「自分はうつ病なのかもしれない」と思い込んで、心療内科や精神内科、精神科に通院する人が増加した、と言うのが真相なのでしょう。

そして、メンタルヘルスが原因で休職しているはずの公務員や会社員が、職場以外の場所で趣味を楽しんだり、旅行に出かけたりするほどに元気になってしまう、という現象をもっともらしく説明するのに「新型うつ病」などと言う、従来のうつ病ではありえないような症状を呈する病気を捏造したのかもしれません。

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