自律神経失調症を知るための5つのポイント

1.自律神経失調症とは

自律神経失調症とは、体内の自律神経系の不調により様々な身体疾患や不快感などを示す病態のことです。
たとえば血管の収縮や循環系などは、自分の意思によってコントロールができません。
これは自律神経によって制御されているというわけですが、この制御機構が正常に働かないがために、明確な検査結果の異常は認められないのに、不調感、不快感がある、という状態に陥ります。(これを、不定愁訴と呼びます)
たとえば頭痛にしても、脳血管障害によって頭痛を発しているなら検査によって明らかになりますが、自律神経失調症の場合には検査結果にそれと解る結果は出てきません。

多くの自律神経失調症患者に見られる代表的な症状は…
頭痛
めまい
冷や汗
立ちくらみ
吐き気
不眠症
頭痛
自律神経失調症の代表的な症状に頭痛があります

2.自律神経失調症と食事

自律神経失調症を患う方にとって、日々の食事に注意することは症状の進行を食い止めることに重要な役割を果たします。
非常に一般的な言い方をしてしまうと、”栄養ある食事を適切にとりましょう”ということになってしまいます。
しかし、この”栄養”というのがくせものです。
人体には摂り過ぎてしまうとかえって有害なものがあったりします。
そのため、サプリメントなどを大量に服用するなどの方法はあまりおすすめできません。
あくまで補助として用いるのが良いでしょう。
食事から得られるもののうち、自律神経系の不調に効果的と言われているのが、亜鉛、鉄分、マグネシウムなどの金属類です。
これらのものは意識して適切な量をとることが重要です。
共通しているのは大豆製品がこれらのものを多く含んでいるという点です。
また、レバーや貝類など、普段あまり食卓に並ばないようなものもこれらの栄養素を豊富に含んでいることがわかっており、これらのものを積極的に取っていくことで、自律神経失調症の症状を栄養という観点から改善していくことができるでしょう。

貝
貝類は自律神経失調症に効果的です

3.自律神経失調症の原因

自律神経失調症を発症する原因には様々な原因があります。
また必ずしも一つとも限らず、いくつかの要因が重なって起こることもあります。
自律神経の不調を起こす原因としては、生活環境の変化(引越しや結婚など)、社会環境の変化(就職、進学、異動、転職など)、不規則な生活などが挙げられますが、現代人が自律神経失調症になる最たる例は、やはりストレスでしょう。
現代はストレス社会と言われるほど様々な場面でストレスに遭遇します。
また、ストレス耐性の低い方というのも存在します。
たとえば、緊張すると胃腸の調子が悪くなったり、極度のあがり性の方などはその典型と言えるでしょう。
ストレスにも肉体的なストレスと精神的なストレスがあり、不規則な生活などは肉体的なストレスとして分類され、緊張や環境の変化などは精神的なストレスと分類することができるでしょう。

新入社員
就職など環境の変化もストレスになり自律神経失調症を引き起こす可能性があります。

4.自律神経失調症の改善

自律神経失調症を改善するために必要なのは、その名にあるとおり自律神経の調子を整えることとなるわけです。
ではその方法にはどんなものがあるか?ということが皆さんの関心事でしょう。
基本的に、自律神経失調症の場合には各々の症状…たとえば、頭痛や胃痛などの発生に合わせてそれ用の薬を飲むなどの対症療法では根本解決とはなり得ません。
一時的に苦痛を和らげる以上の効果は持たないためです。
自律神経の調子を乱す自分の中の原因を取り除くこと、そしてもととなる原疾患があればそちらの完治をまず望む、これが自律神経失調症の治療の基本フローとなります。
一般に治療とは薬物療法(主に漢方など)が重視されがちですが、ストレスの低減やストレス耐性を上げるためにはそれだけでは不十分で、”規則正しい生活とストレスへの対策”が重要になってきます。
前者は肉体的なストレスを低減させ、後者は精神的なストレスを低減させます。
この両者を合わせるために、まずは”食事から充分な栄養補給を行うこと””睡眠時間を規則的に充分とる”ことが前者へのアプローチとなります。
そして、”運動、特に有酸素運動を行う””円滑なコミュニケーションや感情表現の方法を覚える”ことは、後者へのアプローチとなります。
薬物療法と合わせて、これらの対策を練っていくことが必要となるでしょう。

ウォーキング
有酸素運動は自律神経失調症に効果的です

5.自律神経失調症の治療

自律神経失調症の治療は、主に病院やクリニックで処方される薬物による治療が中心となります。
最近では漢方治療が神経系疾患に有効ということが見直され、漢方治療を取り入れているクリニックなどもあります。
また、原疾患としてうつ病などの気分障害を患っている場合には、合わせて抗不安薬などが処方されることもあるでしょう。
睡眠薬についても睡眠障害がある場合には処方されることがあります。
ただし、薬物はあくまで治療を補助するものです。
薬を飲んでいれば調子がいいけれど、飲まないとたちまち調子が悪くなる、という状況では、治療完了とは言えません。
薬は徐々に減らしていくものなのだ、という意識を常に持っておきたいところです。
つまり、お薬さえ飲んでいれば大丈夫!なのではなく、薬によって治療の補助を行い、その間、栄養や生活習慣、運動習慣などをしっかりと見直し、生活のリズムを作っていくことこそが本来の意味での治療ということになります。

まとめ

これらのことをまとめますと、自律神経失調症は、本来正常に身体のリズムを整えるべき自律神経が正常に稼働しないことによる症状を指すことと言えます。
そしてそれらの症状をもたらす原因として代表的であるのは、不規則な生活や栄養不足などの肉体的ストレス、人間関係や社会環境の変化による精神的ストレスであると言えます。
これらの治療には処方薬がその補助を行うことができます。
しかしながら本来の身体の調子を整えるためには生活習慣やストレスマネジメントなどの自助努力が必要です。
また対症療法は一時的に苦痛を和らげますが、根本解決には至りません。
処方薬はやがて徐々に減らしていくものなのだという意識を持ち続け、薬があれば大丈夫という状態から、薬がなくても大丈夫という状態まで持っていくことを治療とします。
処方薬によって自分の体調の補助をしながら、食事、運動、規則的な生活を心がけ、円滑なコミュニケーション、感情表現の仕方など、ストレスケアをするには何が必要か、ということを学んで初めて、自律神経失調症の治療と言えるということです。

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