緊張型頭痛とパニック障害03

(3) 広場恐怖症

広場恐怖症とは、予期不安が強いために、以前発作を起こした場所、逃げられない場所、すぐに助けが求められない状況を恐れて、その場所や状況を避けてしまうことです。

広場恐怖症の進展とともに、患者の生活の障害は強まり、社会的役割を果たせなくなって行きます。
そして、この社会機能障害やそれに伴う周囲との葛藤が患者のストレスとなり、症状の慢性化を促進します。

広場恐怖症は17歳前後の発症が多く、家族の中に広場恐怖症で困惑している場合に発症しやすいと言われています。

広場恐怖症によって避けたがる場所や状況の例として、以下の例がああります。

  • (a) 公共交通機関:自家用車、バス、電車、船舶、飛行機
  • (b) 開放空間:大駐車場、市場、橋
  • (c) 閉鎖空間:劇場、映画館、エレベーター、トンネル
  • (d) 行列に並ぶ、人混みの中にいる
  • (e) 1人で外出する、1人で留守番をする

(4) うつ状態

パニック障害の一連の症状、「パニック発作」→「予期不安」→「広場恐怖症」と続いて、社会からも人からも離れて孤立し、不安感や落ち込みに襲われ、うつ状態になると言うのが、従来のパニック発作とうつ状態の関係でした。

この2つの精神疾患はかなり密接な関係があるようで、

ある人は
「パニック障害を患っている人のうち、うつ病を併発する人が多い。パニック障害を発症する前からうつ病と診断されている場合もある。パニック障害の症状が少なくなった時点でかかる人もいる」と言い、

またある人は、
「このうつの特徴は

  • 激しく落ち込み、気力がなくなる
  • 若い女性に多い
  • 他人の目を気にする
  • マイナス思考
  • 集中力散漫
  • 好きな事に対してや、都合の良い事があると明るくなる
  • 嫌な事やストレスフルな事をしたり、そのような状況に陥ると抑うつ症状が出る
  • 他罰的
  • 不安が強くなったり、切れやすくなる
  • 夕方から夜にかけて憂鬱
  • 過労感(全身が鉛のような重量感)
  • 体調や気分の変化が大きく、感情のコントロールができない
これらの特徴から考えられる事は、このうつは従来型うつ病とは異なり、むしろ新型うつ病と診断すべきである」と言い、

さらにある人は
「新型うつ病とパニック障害の関係は、

  • パニック障害の症状悪化のあげくに新型うつ病になる。新型うつ病になるとパニック発作が起こりにくくなる
  • 新型うつ病が根底にあって、患者の内面と外の世界との葛藤や乖離が激しくなるとパニック発作が発症する
と言うように、相反する説が出ています。」と言います。

これらの諸説を上位互換的に収拾する説はまだ出ていません。
と言うか、大脳生理学や精神医学の発展の結果、知見が飛躍的に増加している状況で、脳内活動に関する学問は発展途上の段階にあって、まとめられるようなレベルではまだない、といったところが正味なようです。

ただ、実用的なアプローチとして、パニック障害と新型うつは不即不離の関係である事を認識すべきである、と言う事です。

また、パニック障害の前兆現象としての緊張型頭痛も忘れるわけにはいきません。

どれも脳内で起こる現象が引き金になっていることは確かなのですから。

パニック障害の原因

それでは、パニック障害はどのような原因で発症するのでしょうか。

パニック障害は何か1つの原因で起こるのではなく、複数の原因が重なって発症するものと考えられています。

遺伝的原因(生まれながらの体質)に様々な環境原因が重なることで脳が機能障害をきたし、パニック発作に至ると言う道筋です。

忘れてならないのは、各種薬物の濫用が引き金になっている場合です。

あるいは、最初に記したように、どれか1つが原因というのではなく、複合的に重なりあっていると考えられています。

原因は3つに大別されます。

  • (1) 遺伝的素因
  • (2) 環境的素因
  • (3) 薬物の濫用

1つずつ紹介していきますが、それは、緊張型頭痛とパニック障害04へ続きます。

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