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「新型うつ病」の治療方法
「新型うつ病」と「従来型うつ病」の治療方法は、基本方針からして大きな違いがあります。
「従来型うつ病」の場合、治療は薬剤投与と休養が中心で、それで多くの患者が回復していきます。
しかし、「新型うつ病」の患者に同じような事をしても上手くは行きません。
では「新型うつ病」を克服するための治療法を書いていきます。
(1) 薬剤投与
「新型うつ病」患者にも薬剤投与はありますが、「従来型うつ病」ほど重きは置かれません。
重要なのは生活習慣の改善やカウンセリングであり、薬剤は補助的なものという位置づけです。
ですが、何種類か用意されています。
抗うつ剤
新型抗うつ剤と呼ばれる下記が使われます。
- SSRI(パキシル・デプロメール)
- SNRI(サイイバルタ・トレドミン)
- NaSSA(リフレックス・レメロン)
気分安定薬
この薬剤は本来は双極性障害(躁鬱病)の気分の波を安定させるために用いられる薬剤です。
商品名としてリーマス・ラミクタールなどがあります。
「新型うつ病」は双極性障害のうような気分の波が認められる症例もあります。
そのうような症例の患者に処方されます。
向精神薬
主に統合失調症の治療に用いられる薬剤です。
向精神薬は近年は双極性障害やうつ病などの精神疾患にも効果がある事が確認され、適応範囲が広がっています。
- 効能
- 気分の波の振幅を抑制すると言う気分安定作用。
- 抗うつ剤の増強
(2) 生活習慣の改善
どんな精神疾患生活でも生活リズムを規則正しくするこは基本中の基本です。
中でも「新型うつ病」の治療では特に重要です。
と言うのも、「新型うつ病」患者が過食や過民という症状から生活習慣が根本から乱れやすい疾患であり、生活習慣の乱れが症状さらに悪化させるからです。
つまり、過食・過民・強い疲労感などで生活リズムが乱れると、さらに過食・過民・疲労感が亢進してしまうと言う悪循環に陥ってしまいます。
ここから脱却するためには、強制終了をしてリセットしなければなりません。
強制的に生活リズムを整える事です。
そのためには、漠然と「規則正しくしよう」と言うお題目を唱えるだけでは不十分です。
具体的に明確なルールを作ることが必要です。
- 朝は5:00に起きる。
- 1日3食食べる。
- 日中は必ず1時間はwalkingをする。
- ネットは1日2時間に限る。
- ゲームも1日2時間に限る。
- 夜は24時には就寝する。
というレベルの具体的なルールを作り、可能な限りそれを守るようにします。
できれば1人ではなく治療者や家族と共同で作成し、共有しましょう。
一人だけで作成した実施すると、人は必ず易きに流れる者ですので、管理が甘くなります。
そうならないためにも、複数の人間でチェックするようにしましょう。
これは一見すると、「できればやった方が良いもの」のような軽い位置づけに思われるかもしれませんが、違います。
「新型うつ病」において重要な治療法であり、「薬物療法やカウンセリングと並ぶ必要不可欠な治療法なんだ」と言う意識で行わなければなりません。
![ウォーキング](../../img/depression/img05.gif)
(3) 安静・休養と適度な負荷
「従来型うつ病」の治療では「まず安静・休養」が大切で、治療の一環として休職・休学・自宅安静などが指示されます。
「新型うつ病」でも休養が重要な事は同様なのですが、「ちょっとがんばってみる」・「適度な負荷をかける」方が治りが良い事が臨床的に知られています。
目標は自分なりに立てたもので構いませんが、可能ならば主治医と相談しながら決めていければベターです。
現在の病状を把握している主治医に現在の適切な不可を教えてもらえると言うメリットがあります。
そしてかけた負荷が有効に機能しているかを定期的にチェックしてもらえるというメリットもあります。
あまり不可がかかりすぎないものとして散歩や掃除・ジム通い、プール通いなどの身体を適度に動かす運動が採用される事が多いです、
(4) カウンセリング(精神療法)中心の治療
生活リズムを整えつつ、過度な負荷をかけるというのが、「新型うつ病」の改善における大原則であります。
さらに、「新型うつ病」の患者に行われる治療として、中心になるのはカウンセリングです。
カウンセリングを通して治療者と話していく中で様々な気づきを得ていき、少ずつ自分の中の問題点になっている事を修正していく治療法になります。
カウンセリングには多くの種類があり、どれを起用するかは患者の症状や状況が決定要因になります。
主なものは以下の通りです。
(a) 生活リズムのコントロール
先述の通り、「新型うつ病」においては生活リズムの再構築はとても重要で、この事は病状の改善に大きく貢献します。
- 朝起きて、日中は適度な活動をし、夜は寝る。
- 時間を決めて居室や身の回りの清掃をする。
- 3度の食事を規則正しく食べる。
- 適度な社会的活動(人と会ったり、デイケアに参加したり、仕事に行ったり)を行う。
このように書くと、「どこが治療なんだ」といわれてきそうな、ごく普通の生活なのでですが、「新型うつ病」の真っ只中にいる患者にとっては、このような当たり前の行動こそ難しく感じてしまうのです。
汚部屋の中で昼夜となく万年床にもぐりっぱなしで、ベッドの周辺には食べ散らかしたコンビニ弁当のカラやら空きペットボトルで足の踏み場もない状態と言う状況で生きる者にとっては想像すらできない生活だからです。
そこで治療者が共に生活再建計画を立てて、その計画をで実行きたかをチェックするという適度な介入(生活指導)を行う事が重要です。
患者1人だと不規則な生活に逆戻りです。
生活リズムをあなどってはいけません。
「新型うつ病」に限らず、アルコール摂取過多・薬物濫用などで心身共に不活発な状態になっている人々は、生活リズムを自ら整えられません。
昼夜逆転の生活をしているケースがほとんどです。
「新型うつ病」においても、生活リズムの再建・確立が病気を大きく改善する可能性があります。
(b) 対人関係へのアプローチ
「新型うつ病」の患者は、対人関係において極めて不利な性向を抱えています。
拒絶過敏症というものです。
他者の発言に対して、過敏に「拒絶された!」と解釈して反応してしまいます。
相手の発言の意図が、拒絶であろうがなかろうが、患者が「拒絶された」と受け取ってへこんでしまうと言うパターンがほとんどです。
これは患者の認知(物事のとらえ方)の歪みがあると考えられます。
「新型うつ病」の治療では、このような認知の歪みに焦点を当て、不適切な認知に陥らないように、適切な認知へ修正していくように治療を進めていきます。
この治療法を認知行動療法と言います。
あるいは、他社の視線や評価を過剰に気にするケースもあります。
その背景には「自己評価の低さ」があり、これもまた認知の歪みです。
この場合も自己評価を適切に行えるように認知を修正していく必要があります。
認知行動流法では、自分の考え方の癖(スキーマ)とそこから生まれる自動思考を客観的に見直し、病気悪化の原因になっていると考えられるものを修正していきます。
このような精神療法は最低でも数ヶ月の時間をかけて、定期的にじっくりと行っていく必要があるため、患者自身の根気が必要です。
長い事培ってきた癖や考え方を・対人関係における反応のし方などは一朝一夕に変わるものではありません。
自分の認知や行動の歪みを見直して、そのように修正していったら良いのかを相談しながら決め、それを実践する。
そして上手く行かなかった部分をさらに相談して修正していくと言う地道な繰り返しが必要ようです。
(c) 「新型うつ病」に適度な負荷を
「新型うつ病」は、「従来型うつ病」と違って、休養・安静一点張りではなく、適度な負荷をかけた方が治りが様場合があるのは先述の通りです。
ですが、患者本人が時運に対して「適度」な負荷をかけるのはほぼ不可能です。
勤勉な性格の患者なら自らに重過ぎる負荷をかけて、そのストレスでうつ病の症状が急激に状悪化しかねませんし、怠惰な性格の患者なら、全ての事を先送りにして適切も何も負荷そのものをかけないままに終わってしまう可能性が高いです、ここは治療者が適切な負荷をかけるサポートをするのも必要不可欠な役割になります。
カウンセリングの中で、「新型うつ病」患者に対する「負荷の管理」・「モチベーションの維持」を治療者が促していく事が重要な事です。